先日、中古住宅流通促進と住宅ファイルに関する研修を受けてきました。

半日に及ぶ長い研修でしたので、全ての内容は網羅できませんが、私的に気になった部分を中心にまとめてみました。

◆中古住宅流通促進について

中古住宅流通促進は、国土交通省が推進しているもので、アベノミクスの「第 3 の矢」として位置付けら
れているものです。

建築技術の進歩等の中で、優良な住宅が供給されているにも係わらず、他国との比較において建物価格が
過度に低廉に評価され、更には、いくらリフォーム等を行っても築後 20 年程度を経過すると建物価格が 0 となって「資産が逸出」してしまっている現状を改革しようというものです。

この一環として、昨年の鑑定評価基準の変更や、先だって発表された中古住宅の鑑定評価に関するガイド
ラインの制定等が有るわけですが、「既存の価値観とは異なる、新しい価値観(要するに建物の残存耐用年
数はもっと長い)を作り上げ、浸透させよう」という発想があり、「今現在の市場価値を判定する」という
鑑定評価の建付けとの整合性に疑問を感じつつも、国の本気度を感じます。

また、別の方向からの支援として、取引データの一元公開を進めようとしているという点も注視が必要か
と思います。

これは、アメリカで不動産情報がオープンになることで、不動産市場が活性化したことに習っているよう
で、現在横浜市において戸建住宅・マンションの取引価格情報や、法規制・浸水履歴等を一元公開するサイ
ト(不動産総合データベース)の試験運用が行われています。

※参照 http://www.mlit.go.jp/report/press/totikensangyo16_hh_000123.html

その研修では、ニューヨークの宅建業者さんも来ていたんですが、その方曰く、取引情報等のデータが広
く公開される(向こうではレインズ的なサイトで、この辺の所得層がどんな感じで、価格の推移がこんな感
じで、この物件は過去にいくらで取引されて etc が全てエンドユーザーに対しても公開されているそうで
す)ことで、宅建業者が、『情報を持ってるから強い』から『情報を分かりやすくまとめて伝えられるから
強い』に変わったとのことでした。

今の日本の不動産関連業界は、「情報量の多い大手が有利」という側面がありますが、今後は変わってい
くかもしれないですね。

◆住宅ファイルについて

住宅ファイルは、近畿圏の宅建協会・鑑定士協会等で企画されている、中古住宅流通促進の支援ツール
です。

※参照 http://anshin-ouchi.com/pdf/25/10kinki.pdf

これは、売り主負担で、シロアリ・インスペクション・価格に関する情報をまとめた「住宅ファイル」
を取得してもらい、売買にあたってこれを提示することで、安心して購入してもらおう、とする制度で
す。

この中には、建物の経済的残存耐用年数も明記される事等もあり、資金調達時においても有利に働くこ
とが予想されます。

まさに今、スタートしようとしている制度ですし、この枠組みによって出てきた価格と、現状の不動産
価格の溝をどのようにソフト・ランディングしていくか等の課題もあるかと思いますが、このような制度
の運用が始まったことは「大きな変化」であることは間違いないので、私としても注視していきたいと思
っています。